この記事では、ハンドメイドイベントで「思っていたよりも売れなかった」と感じたときに、次の出店へつなげるための考え方やオススメの行動をまとめました。
ハンドメイドイベントに出店して、思うような売上にならなかった日。
「場所が悪かったのかな」
「今日はお客様が少なかった」
「イベント側がもっと宣伝してくれれば」
と考えてしまうことはあると思います。
もちろん、天候や会場の立地、客層、導線、開催時期など、
作家さん一人では変えられない条件が売上に影響することも確かです。
ただ、そういう変えられない条件があるからこそ、自分で変えられることを一つずつ見つけていく。それが、次のイベントをより良い一日にするための現実的な方法ではないでしょうか。
私たちは、ハンドメイドイベントを単に作品を並べて販売するだけの場所ではなく、
作る人と買う人、作家さん同士、地域の人たちがつながる場所だと考えています。
出店するということは、場所を借りるだけではありません。
作品づくり、告知、ブースづくり、接客、そしてイベント後の振り返りまでを含めて、「一日のお店」をつくることです。
「売れなかった=イベントが悪かった」と決める前に
イベントの結果には、自分ではコントロールできない要素があります。雨が降ることもありますし、想定していた客層と実際の来場者が違うこともあります。
会場内の場所によって人の流れが違うこともあるでしょう。こうした外部要因まで、作家さんが背負う必要はありません。
※カインズ鶴ヶ島店で開催する「らららマーケット」は、屋内での開催のため、天候に左右されにくいイベントです。
一方で、
・告知の回数
・作品の見せ方
・POP
・商品構成
・接客の仕方
・自分のお客様への案内
などは、自分で変えられます。
同じ会場、同じ時間帯でも、ブースごとにお客様の立ち止まり方や売れ方が違うことがあるなら、その違いの中に次回へ生かせるヒントがあるかもしれません。
「誰が悪かったのか」や「何が悪かったのか」を探すより、「次に自分が変えられるのはどこだろう」と考えてみることが売上UPのための選択肢が見つかります。
売れている作家さんは「お客様を待つ」だけではない
売れている作家さんの行動を見ていると、作品を作って当日会場へ持っていくだけではなく、イベントが始まる前からお客様との接点をつくっています。
たとえば、同じイベントの次回開催や姉妹イベントのチラシを100枚ほど多めにもらい、友人や知人、自分のお客様へ渡す。別のイベントに出店したときにも、「今度はこちらに出ますので、よかったら遊びに来てください」と案内する…といった行動です。
ここで大切なのは、「自分のブースだけを宣伝する」という発想から少し広げて、「イベントそのものへ人を呼ぶ」という考え方です。
あなたの作品を目当てに来た方が、隣の作家さんの作品に出会うかもしれません。反対に、別の作家さんが呼んだお客様が、会場を回る中であなたの作品を初めて知ってくれることもあります。
主催者のフォロワーだけで集客するより、Aさんのお客様、Bさんのフォロワー、Cさんの友人へと情報が広がれば、イベントに触れる人は増えていきます。
これはイベント側を手伝うだけの行為ではありません。結果として、自分のブースを見てもらう可能性を広げる、自分自身の集客でもあります。
イベントは、「イベント側が集客して、出店者はその人を待つ」という一方向のものではないと私は考えています。イベント側と出店者が、それぞれ持っているつながりを持ち寄って育てていく。その好循環こそがイベント全体を盛り上げる力になります。
SNS告知は「主催者任せ」にしない
チラシと同じように、SNSもイベント前からできる集客の一つです。
事実、ハンドメイドサイト大手・minneの公式ガイドでは、イベント出店前のSNS投稿を5つのステップに整理し、最後に「繰り返し宣伝する」ことを挙げています。フォロワーは常にタイムラインを見ているわけではないため、情報を一度に詰め込まず、作品紹介や会場への行き方、ブース情報、準備の様子などに分けて発信する方法が紹介されています。
・出店が決まったとき
・開催1カ月前になったら
・ブース番号が決まったとき
・新作が完成したとき
・開催1週間前
・開催前日
・開催当日
にそれぞれ告知してみましょう。
毎回同じ文章をコピーする必要はありません。「今回はこの新作を持っていきます」「駅から会場まではこの道です」「目印はこちらの看板です」と、読む人にとって新しい情報を少しずつ届ければよいのです。
データで見る「イベントを知った経路」
SNSで何度も告知すれば必ず来場者が増えるわけではありませんが、統計的にその可能性が高いことは間違いないでしょう。
実際に、兵庫県の加古川市が2021年12月に開催した「加古川リバーライト」というイベント(ハンドメイドイベントではありません)では、来場者アンケート(図1:集計総数2,954、複数回答)によると、イベントを知ったきっかけは「SNS・ネット記事」が1位でした。

大規模イベントでも、出店者と主催者が一緒に情報を広げる仕組みがあります。
デザインフェスタでは、出店者がXにブース番号や作品画像などを投稿し、公式アカウントがリポストする「リポスト祭り」を実施しています。vol.62の案内では、公式アカウントの約14万8000人のフォロワーへリポストしたように、「主催者だけが発信する」のではなく、出店者の発信を主催者が広げることで相乗効果が見込めます。

私たちもIT担当スタッフを含めて、出店作家さんの投稿をできる限りリポストやシェアをしています。デザインフェスタには敵いませんが、1000人以上のフォロワーさんがいるので、地域レベルでの認知度アップは十分に見込めます。
なので、SNSで主催側とまだつながっていない方は、ぜひアカウントを教えていただけると嬉しいです。こちらの→ページ内に各イベントのInstagramにリンクする記載があります。
作品だけではなく「ブース全体」があなたのお店
会場に訪れた方々は、まず作品一つひとつを見る前に、ブース全体を見ています。たくさんのブースが並ぶ中で「何のお店だろう」「ちょっと見てみたい」と思ってもらえるか。その見た目がとても大切です。
少し離れた場所から目に留まるアイキャッチ、ディスプレイの高さ、作品の雰囲気に合った什器、作品説明のPOPなど。また、アクセサリーなど身につける作品は、着用時の様子やサイズ感を想像できるように鏡を準備することもオススメです。
ブースでは、
・高低差をつける
・値段を分かりやすくする
・商品の特徴がすぐに伝わるPOPを置く
・写真に撮りたくなるポイントをつくる
など、「通りがかった方の目線」で一度見直してみましょう。
箱やカゴを使うときも同じです。中に2~3個だけがポツンと残っている状態は、場合によっては「もう選べるものが少ないのかな」「売れ残った商品なのかな」という印象につながります。
もちろん、高級感を出すために余白を生かすブランドもありますから、たくさん積めば正解という話ではありません。大切なのは、自分の作品が一番魅力的に見える「量の見せ方」を考えることです。
テーブルクロスも天板だけではなく、必要に応じてテーブルの下まで隠す長さを考えてみましょう。在庫の箱、バッグ、飲み物、私物などがそのまま見えると、そこだけ急にバックヤードのように見えてしまいます。小さなことですが、世界観を守るという意味では大切な部分です。

作家自身もブランドの一部
トータルコーディネートというと、作品とディスプレイだけを考えがちですが、私たちは作家さん自身もブランドの一部だと思っています。高価な洋服やブランド品を身につける必要はありません。大切なのは、清潔感と自分の作品の世界観とのつながりです。
たとえばアクセサリー作家さんなら、その日に販売するイヤリングやネックレス、新作を自分で身につけてみましょう。するとお客様は「着けるとこのくらいの大きさなんだ」「この服にも合いそう」と、買った後の自分を想像しやすくなります。作家さん自身が、自然な着用モデルになるわけです。
反対に、寝巻きに近い服装やジャージ、近所へ買い物に行くようなサンダル姿では、作品が持つ世界観とずれて見えることがあります。服装も含めて「この作品を作っている人なんだ」と感じてもらえるような見せ方を考えてみてください。
花粉症だったり、顔や口元の一時的な傷などが気になったりと、接客に集中しづらいときはマスクを使うという選択肢もあります。外見を隠すべきという意味ではありません。自分が安心してお客様の前に立ち、気持ちよく接客できる状態を整えることが目的です。
大きなイベントなら売れる、とは限らない
「来場者が多いイベントなら売れるはず」と思うこともあるかもしれません。確かに、人が多ければ、自分の作品を知ってもらえる潜在的な機会は増えます。しかし、それだけで売上が決まるわけではありません。
たとえばデザインフェスタ公式サイトでは、2026年11月開催予定のvol.64について、各日約6,500ブースと案内しています。デザインフェスタは2日間で最大14万人が参加見込みの規模ですが、来場者が多い一方で、お客様にとって選択肢も非常に多くなります。
14万人が参加するイベントだからといって、14万人が自分のブースの前を通るわけではありません。通ったとしても、全員が作品のターゲットとは限りません。興味を持っても購入に至らない方もいます。隣のブースがたくさん売れていたとしても、作品ジャンル、価格帯、ファンの数、SNSでの事前告知、リピーター、接客、ディスプレイなど条件は違います。
大きなイベントは「売上を保証する場所」ではなく、「多くの人と出会える可能性がある場所」と考えたほうが、次の行動を考えやすくなると思います。
ちなみに、私たちが主催するカインズ鶴ヶ島店の恒例イベント「らららマーケット」は、デザインフェスタのような大規模なイベントではありませんが、2026年で10年目を迎えました。
2026年7月開催では、2日間で延べ43組の作家さんが出店し、売上合計は約150万円。1ブース平均で35000円は売れた計算です。コロナ禍以前の売上合計が約100万円でしたので、昨今の物価高を差し引いても、年々当イベントの売上が伸びていると言えます。
もちろん、10万円以上売り上げた方、平均売上に届かなかった方とさまざまですが、売れている作家さんは売れるための考え方や行動が伴っています。なので、この事実からは目を背けない方が良いでしょう。
流行より先に「自分のお客様」を見ていますか?
流行を知ることは大切です。今どんな色やモチーフが注目されているか、市場を見ることは商品企画のヒントになります。ただし、「流行しているものを作れば売れる」とは限りません。
もっと大切なのは、自分のお客様が何を好きなのかを知ることです。
✅ よく売れる色は?
✅ 季節によって売上は変わる?
✅ 新作を楽しみにしている方は多い?
✅ 大きめと小さめではどちらが人気?
✅ どの価格帯なら迷わず手に取ってもらえる?
✅ 定番をリピートしてくださる方はどのくらい?
こうした情報を集めることを、ちょっと難しい言葉でいえば「顧客理解」と呼びます。でも特別な調査をしなくても始められます。お客様との会話や、売れたもの、迷われたもの、SNSへの反応を少しずつ記録するだけでも、自分のファンの輪郭は見えてきます。
「流行はこうだから」ではなく、「私のお客様はこれが好きだから」。この視点が持てると、作品づくりにもブースづくりにも一本の軸ができます。
「売れた」中身を調べてみる
イベントが終わったら、売上の中身を振り返ってみましょう。
たとえば10個の購入があったとして、そのうち7件が既存のお客様だった場合と、10件中8件が初めてあなたを知ったお客様だった場合では、同じ10件でも意味が違います。前者ならリピーターとの関係が強い可能性があり、後者なら、会場内で新しいお客様と出会う力があった可能性があります。
ここでの「7件」や「8件」は説明のための仮定ですが、大切なのは一般的な平均を当てはめることではなく、あなた自身の数字を知ることです。自分の作品を買ってくださった方が、常連さんなのか、SNSを見て来てくれた新規のお客様なのか、会場を歩いていて偶然見つけた方なのか、別のブースから回ってきた方なのか、他の出店者なのか。ムリのない範囲で思い出してみてください。
| 購入経路 | 人数 |
| リピーター | ・・・人 |
| SNSを見て来場 | ・・・人 |
| 通りがかり | ・・・人 |
| 他ブースから回遊 | ・・・人 |
| 出店者 | ・・・人 |
| 口コミ・友人知人 | ・・・人 |
| その他 | ・・・人 |
こうして振り返ることで、売れなかったイベントは、次に変えるべきことを教えてくれる材料を発見できます。
イベントの結果を、評価ではなく材料にする!と考えれば、売れなかった日も、ハンドメイド作家としての活動を続けるモチベーションが高まるでしょう。
まとめ|イベントは、主催者だけでつくるものではありません
イベントには、主催者ができることと、出店者ができることがあります。
会場環境や天候など、自分では変えられないこともあります。それでも、自分のお客様へイベントを知らせること、SNSで発信すること、ブースの見せ方を整えること、自分の作品を身につけること、お客様がどこから来たかを記録することは、自分から始められます。
出店者がお客様を連れてくる。別の作家さんのお客様があなたを知る。そこで新しいファンができ、その方が次のイベントへ来てくれる。そんな循環が生まれれば、イベントそのものも、作家さん自身も少しずつ育っていきます。
「もっと主催者がやってくれれば」と感じたとき、その気持ちを無理に否定する必要はありません。ただ、そのあとにもう一つだけ、「次回、自分で変えられることは何だろう?」と考えてみてください。
チラシを10枚多く配る、SNSをもう一度投稿する、テーブルの下をきれいに隠す、お客様に「何を見て来てくださったんですか?」と聞いてみるなど、何でも構いません。
もちろん、今回お伝えしたことは1つの事例に過ぎません。〇〇を実践すれば完璧というものはないので、まずは次のイベントで、まず一つだけでも自分から変えてみませんか。その小さな一歩が、作品とお客様との新しい出会いにつながるかもしれません。
長文になりましたが、私たちも主催としての企業努力は続けてまいりますので、今後とも「らららマーケット」をはじめとした私たちの各イベント(うららフェスタ・なめがわマルシェ・CAINZ FAN FUNフェスタ)をどうぞよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただきありがとうございます。


